スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
line

月の光 第4章  ユナ

  
  「お兄ちゃんに、お願いがあるの」

 ユナは、今度はカケルを見つめて言った。

   「あたしは、もうすぐリーデと光の世界に還るの。」

   「えっ!?」

でもすぐに、ユナが笑顔になった。

   「もう、苦しくなることはないの。あたしがいなくなるわけでもないの
 よ。ただ・・・」

そこで、ユナの言葉はふいに途切れた。

   「ただ、あなたやお母さんやお父さんに、会えなくなるの。」

リーデが言葉を続けた。

ユナがうなづく。

   「魂が体から離れると、この世界の人の目には見えなくなるだけで、ユ ナはずっと行き続けているわ。生きる場所が、変わるだけなの。」

   「生きる場所が?」

リーデは、にっこり笑って、ユナの頭を愛しそうになでた。

   「人は、数え切れないくらい生まれ変わっているの。その中には、病気 の体で生まれるっていう、つらい経験を選ぶこともあるの。それはとてもつ らいことだけど、その人と周りの人にとってつらさを乗り越えるっていう体 験が、お互いの魂を成長させるの。」

   「ユナは、そのために生まれてきたの?」

カケルは、最初に感じた疑問をリーデにぶつけた。

   「そうよ。ユナが決めたこと。ユナは、病気の人の心を知りたいって、 痛みを知りたいって。そうして生ま れ変わったの。」

   「何で、そんなことをリーデは知っているの?」

   「私? 私はユナの守護天使よ。ユナのそばにいて、ユナをずっと見守ってきたの。あなたにも、お母さんにもすべての人に守護天使はいるのよ」

   「ふーん・・」

何だかよくわからなくて、信じられなくて、カケルはユナを見つめた。

ユナは、唇をかんで目をギュッと閉じていた。

ケルンが、短い手でユナの腕を心配そうにさすっている。

いのちのうたは、ずっと続いていた。

光たちが、ゆっくりと動く。ひとりひとりの心に光を届けようとするかのように。

優しく、淡い色は、ほんのりとあたたかくて、心にぬくもりが広がった。 

やがて、ユナが顔を上げた。

   「お兄ちゃん、お兄ちゃんも絶対に光の世界に還ってきてね。そしたら また会えるから。」

   「ボクが、光の世界に?」

   「うん。」

ユナの瞳から、月の光に染まった涙がポロリとこぼれ落ちた。

   「すべては、学びのためにあるのよ。」

リーデが、カケルの両肩に手をそっとおいた。

   「どんなところに生まれて、どんな経験をして、どんなことを思うのか。周りの人をどう見て
  どんな風に考えて、どんな行動をとるのか。
  それはすべて経験。学びなのね。いいも悪いも、本当はないの。
  ただ、人をつらい目に合わせたり悲しませたりしたら、まっすぐに光の世界には還るのはむずかしい
  けれど・・・。 早く還りたければ、まっすぐ還れるような、生き方をしてほしいっていうことなの」
   

ユナが、にっこり笑ってうなづいて、ケルンを両手で抱きしめた。

ケルンは、ふにゃあと笑った。その顔がおかしくて、カケルも思わず笑顔になった。
スポンサーサイト
line
line

comment

管理者にだけ表示を許可する

line
line

FC2Ad

line
プロフィール

ありす

Author:ありす
FC2ブログへようこそ!

line
最新記事
line
最新コメント
line
最新トラックバック
line
月別アーカイブ
line
カテゴリ
line
FC2カウンター
line
検索フォーム
line
RSSリンクの表示
line
リンク
line
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

line
QRコード
QR
line
sub_line
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。