スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
line

月の光  いのちのうた

   
   カケルとユナの目の前には、月の光を浴びて色とりどりに輝く、花畑が広がっていた。

   「きれい・・・」

ユナは目を輝かせて見つめている。

 けれども、だんだん色がふっふっと消えて行き、黄金色の草原だけになる部分が増えて行った。

   「どうしたの?」

ユナが心配そうにカケルをのぞき込んだ。

よく見ると、花が枯れているのだった。

やがて、全ての花が枯れ、元の黄金色の草原だけになった。

   「みんな、枯れちゃった・・・」

涙声になったユナの肩を、リーデがふわりと包んだ。

   「よーく見ていてごらんなさい」

リーデは、木の下の地面を指さした。

 すると、花が枯れて消えてしまった所に、小さな芽がピンと顔を出した。

そして見る見るうちに双葉になり、本葉が出て茎がするすると伸びて、葉っぱ
が横にひろがって・・息をのんで見つめていると、とうとうつぼみがついた。

   「もうすぐね!」

ユナがそっとつぶやく。

つぼみはどんどん膨らんで、その先に花びらが見える。

あちこちに、色とりどりの小さな光が灯る。

ユナの願いをのせて、つぼみは光を増しながら少しずつ開いて行った。

心なしか、さっきよりも大きく見える。

   「わあ! 咲いたわ!咲いた!」

ユナはぶら下がっている足をバタバタさせて喜んだ。

次々に、花が咲いて行く。チョウたちも、また花の色に羽を染めながら飛びまわっていた。

黄金色の光も、ほわっとあちらこちらに生まれ、チョウたちのまわりで静かに
はねる。

それは、もう夢のような景色だった。

カケルの心もほうっとあたたかくなり、うれしい気持ちがこみあげてくるのだった。

   「ねえリーデ、どうしてこんなにうれしい気持ちになるの?」

ユナは、花畑を見つめながらたずねた。

   「それは、ユナとカケルの中に、光が生まれたからよ。」

リーデが穏やかな声で言った。

    「ここに住んでいる花や草や虫たちは、今生きていることを喜んで
 いるの。だから、こんなに輝いているのよ。いのちがあることをね。」

    「いのちが、あること?」

カケルはちょっとむずかしいな・・と思った。

    「むずかしくないわ。花も草も虫も木もいのちがあって生きているこ とが、ただうれしいの。それぞれがせいいっぱい生きたいって思っているのよ」

    「せいいっぱいってなに?」

ユナが、子どもらしい質問をした。

    「いっしょうけんめい、っていうことよ。生まれたところでいっしょうけんめい、生きて行こうってその気持  ちが心を輝かせているの」

    「あたしも、いっしょうけんめい、生きたよ」

ハッとカケルがユナを見る。リーデがぎゅっとユナを抱きしめた。

    「ええ、ユナはいっしょうけんめい、生きたわ。」

    「うん。病気だったけど、ママもパパもいっぱい泣いてたけど、あた しはいっしょうけんめい、生きたよ」
カケルは、かける言葉が見つからなくて下を向いた。

  花たちが、まただんだん枯れて行く。黄金色の草原が、寂しくゆれているだけになった。

そしてまた、同じところに芽が吹き出した。

    「ユナ、カケルも見たでしょう、花は芽を出して大きくなって咲いて そしてまた枯れるの。でもちゃんと芽  を出すでしょう? 人も同じよ。
  生まれて大きくなっていずれは死ぬの。でも、また生まれ変わる。花も人も 永遠のいのちを持っているのよ。」


    「永遠のいのち?」

    「そうよ。人は何億年も、この地球で生まれては死んで行って、また 生まれ変わって・・何度も何度も転生   輪廻を繰り返しているの」

    「てん・・しょう・・りんね・・?」

    「むずかしい言い方だったわね。つまり、この世を去った世界とこの
   世界を行ったりきたりしているっていうことよ。」

    「そこは、どんな世界なの?」

ユナが聞いた。カケルはドキッとした。

    「そこへは、自分の心を光でいっぱいにした人しか行けないのよ。 生まれたことを喜んで、いっしょうけん めい生きた人。そばにいる人をしあわせにした人だけ。誰かを憎んだり、誰かにうらまれたりしている人は来れな  いの。」

    「ふーん、あたしは行けるかな。」

    「ええ、ユナはちゃんといっしょうけんめい生きたわ。私がいちばん よく知っているわ」

花が、また一面に咲き乱れ、色とりどりの光を放っていた。

けれどもカケルは、胸のドキドキが止まらなくなっていた。

ユナは、もしかして、その世界へ・・・?
スポンサーサイト
line
line

comment

管理者にだけ表示を許可する

line
line

FC2Ad

line
プロフィール

ありす

Author:ありす
FC2ブログへようこそ!

line
最新記事
line
最新コメント
line
最新トラックバック
line
月別アーカイブ
line
カテゴリ
line
FC2カウンター
line
検索フォーム
line
RSSリンクの表示
line
リンク
line
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

line
QRコード
QR
line
sub_line
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。